| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第3話 強盗だー! ネパールでは空港で1週間滞在のビザを取れるので、取りあえず6日間だけ滞在して、すぐにインドに行くことにした。 インドのビザの期限である3ヶ月後にまた戻ってこよう。 ネパールからインドへわたるには、飛行機でカトマンズからインドのパトナへ飛ぶのが一番手っ取り早いが、お金がかかるので、バスを乗り継いで行く。 チケット売り場のおやじは「デラックスバス」と言っていたが、出発の朝、現物のバスを見た印象は、日本でも川原などに捨ててある廃車のバスがあるが、あれにタイヤをつけた感じ。 外見もボロだが、乗ってみると座席も狭い。 どこが「デラックスバス」なんだ! ものすごい高低とカーブの繰り返しが延々と続く道をバスは走る。 途中2時間に1回くらい茶屋のところで休憩タイムがある。 のどかな風景だ。 バスはボロいが、隣の席のネパール人のおっさんが親切で話好きだし、天気も良くていい感じ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 午後4時。インドとの国境の町ビルガンジへ到着。 バスの周囲に旅行者を待ちかまえている人々の群れがあった。 雑踏・・・怒鳴り声・・騒然とした雰囲気に包まれる。 「2ルピーtoボーダー!」と叫ぶリキシャ(インドの自転車式人力車)の運ちゃんたちの声。 子供たちが、頼みもしないのにバスの屋根に登って、積んでいたリュックを降ろし、手間賃として50パイサ(約15円)をせがむ。 5パイサだけ与えてさっさとその場を離れた。 国境では、ネパール側とインド側の2つのイミグレーションオフィス(出入国管理事務所)でパスポートチェックがある。 ネパール側は、係官の愛想が良くて簡単。インド側は無愛想でいばっており、とても時間がかかった。 ネパール人は親日的だが、インド人は別に親日的でもなんでもないということが実感できる。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 国境を越える頃には、あたりはすっかり暗くなってしまった。 馬車で町に向かったが、あてもないので、馬車マンの言うままにナショナルホテルとかいうボロいホテルに到着。 不気味な顔のホテルマスターに不気味なビッコのボーイ、そして不気味な部屋・・ 周囲が暗いので余計不気味に感じてしまう。 さて明日はどうやってパトナまで行こうかと考えていたところに、ドアをノックして「hellow」と言って男が入ってきた。 太っていてニコニコした中年のおっさんだ。 要するに何か売るものを持っていないかということだった。 日本製の電化製品を欲しがっていた。 私の方も、日本から要らないものを様々持ってきていたので、高く売ってやろうと交渉したが、 男がいうには、 「inシンガポール、ジャパニーズグッズ、ヤスイ!ヤスイ!」 ・・・なんだか、英語と日本語がごちゃまぜになった変な言葉ではぐらかす。 私がパトナへ行こうとしているのを知ると、男は、 「パトナまでの直行バスがあるので俺が手配してやる。明朝ホテルに迎えにきてやるから大丈夫だ。」というので、男から20ルピーでチケットを買うことにした。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 夜は蚊がうるさくてよく眠れなかった。顔じゅう刺された。 朝、4時半頃から目を覚まして起きていたが、約束の5時を過ぎても、直行バスの出発時刻を過ぎても、迎えに来るはずのあの男は現れない。 しかたなく朝食を食べに階下へ降りいったら、例の男がいるではないか! しかも、悪びれる様子は全くなく、昨夜と同じようにニコニコしながら私の隣へやってきた。 「おまえは約束を破った!」と男に言ってやったら、 「6時40分発のムザファプール行きのバスがあるので、バスターミナルまで私がいっしょに行ってヒンディー語で交渉してやろう。 ムザファプールからパラザガートまではたくさんバスが出ているし、パラザガートからガンジス川を渡ればパトナはすぐそこだ。」などという。 ・・・しょうがない。そうするしかないか・・・ あとはこの男の話すことといったら、 「俺はワイフを3人持っている。ネパーリとインディアンとイングリッシュだ。」 「おまえにワイフはいるか? おまえは女は好きか? インド人の女を買わないか? 俺は4人目はジャパニーズガールが欲しい。俺はモーターエンジニアだがガールエンジニアでもあるんだ。」 もう、うるさいことしきり・・・ 話しながらも、私の手を握ったり肩をたたいたりして笑っていた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 バスに乗ってムザファプールへ向ったが、ラクソールの町を出てまもなくチェックポストがあり、そこでバスが停まった。 警官が2名ほど中に入ってきて、私の荷物を指差し、中を見せろという。 一般的な荷物検査なんだろうと思いつつ開けてみせたら、実に細かく中を調べはじめた。 バスの中では、私の回りに、地元インド人たちが集まって、私の荷物をのぞきこんでいる。誰も何もいわない。不気味なひとときだ。 警官の一人は、私のライターを手に取り、火をつけてみては「Nice!」 やがて、ボールペンの束と乾電池と歯ブラシを持って外に出てしまった。いったいなんなんだ、こいつらは! その後、警官が私に向かって、「外に出ろ」という。 言われたとおりに荷物を持って外に降りたら、バスは行ってしまった。 おいおい、私を置いて行くのか! という感じだがもう遅い。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 降りてみたら警官は二人だけでなく、全部で5人もいた。 バスは行ってしまった。周囲にはもう誰もいない。 道路から少し離れたところに小さな小屋があったが、警官たちは私をそこへ連れて行き、私を中へ押し込むと、5人とも入ってきた。 「200ルピーよこせ。」 これが、警官が私に言った言葉だった。 200ルピーよこせだと? なんでお金を払わなくちゃならないんだ! むしろ、私の方がバス代を弁償してもらいたいくらいだ。 そう考えたが、この状況では圧倒的に私が不利だ。 私は怖くなったが、そういう素振りは見せずに怒った振りをして「I am very angry 」とか、「なぜお金を払わなくちゃいけないのだ!」と詰め寄ってみた。 全く効き目なし。 あちらは英語を解しないのか、無視しているのか、払え払えの一点張りである。 しかも、銃を持っている・・・! ここは異国の、誰も知らない小さな小屋の中だ。殺されても誰にもわからない。 対応によっては、最悪の場合殺されるかもしれないが、でも私はそのとき、どういうわけか、本当に殺されるとは思わなかった。 警官たちが、「凶悪な連中」という雰囲気ではなく、ただの小遣い稼ぎという感じがしたからだ。 でも油断は禁物だ。 殺されたくないけど、素直に200ルピー(当時のレートで約6千円)払うのはおもしろくなかたので、 試しに「50ルピーにまけろ。」と言って50ルピー札を出したら、あっさりと解放された。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 急いで道路に戻り、歩いて、できるだけこの場所から離れた。 歩きながら、頭の中は恐怖というより怒りでいっぱいだ。 くそーっ! 田舎もんがー! 銃を持っているのをいいことに、よってたかって旅行者をいじめるなんて。 時代劇に出てくる弱いものいじめのこっぱ役人みたいじゃないか。 悪いやつを取り締まるはずの警官が、実は悪いやつらなんだ。強盗をはたらくんだ。 なんというひどい国だ! インドの印象はいっきに最悪になった。 次に来たバスに乗っていったが、次のバスが来るまで時間がとても長く感じられた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今から思えば、もしかするとあのナショナルホテルにいた太った男と、警官たちはグルになっていたんではないか・・・・ あの太った男が、パトナまでの直通バスではなく、地元の定期バスに乗るように私を仕向けたんではないか? そして、カモをこのバスに乗せたということを警官に連絡したんではないか? いや、さらに言えば、国境からナショナルホテルに案内した馬車マンもその手下だったんではないか・・・などと疑いたくなる。 つまり、国境を越えてインドに入った瞬間からカモにされていたのかも・・・ まあ、考え過ぎかもしれないが、彼らが非常に狡猾な詐欺集団なのか、あるいは単に素朴な田舎モノなのか、今でもよくわからない。 (続く) |