| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第9話 ヒッピーの聖地(パーティー) 竹と椰子の葉でつくられたヒッピー達の棲家「ハット」での暮らしは快適だった。 ある晩、インド人夫婦がやってきて、ここに泊まっていった。 彼らは、ガンジャ(大麻の葉を乾燥させたもの)の袋を取り出し、カルカッタ産の良質なものだが1個しかないから15ルピーで買わないかという。 要するに彼らは、渡りの大麻売りだった。 翌朝、彼らと私は早起きしたので、3人でそのガンジャを吸ってみた。 チロム(ガンジャ喫煙用の筒)1本つくるときの彼らの仕草が、いかにもプロだ。 その辺のヒッピーどもとは風格が違う。 さすがに、数千年も前から当たり前のように大麻が生活に溶け込んでいた地元インドの人の仕草は違うのだ。 そのうちに、竹の切れ端を、紙に火をつけたもので燃やしはじめたので、何をするのかと思って見ていたら、竹の棒の先端を燃やして灰をつくり、それを指で歯にこすりつけて歯磨きしていた。感心した。 つまり、彼らの歯磨き道具は、小さな竹の棒とマッチだけなのだ。 彼らはカッコイイ! 彼らの去っていく姿もまた良かった。 ゆうべ、このガンジャは1個しかないと言ったくせに、今朝みたらたくさん持っていたことも気にならなかった。 昼に再び彼らと会ったときは、二人で悠然とメシなど食っていた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 我々の住み着いたハットは、周囲のヒッピーたちからJapanese Hatと呼ばれるようになったが、浜辺や林の中にはたくさんのハットが、適当な距離をおいて点在していた。 イギリス人ハットあり、オランダ人ハットあり・・・ アフリカンハットというのもあって、そこではアフリカから来た黒人たちが料理店をしており、ヒッピーたちの社交の場になっていた。 メニューはなく、マスターの陽気なアフリカ人が気まぐれにつくる「その日のお任せ料理」ただ一品のみだが、これが結構うまかった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 2晩に一度くらい、どこかでパーティーがあった。 我々は、パーティーの情報が入ると、ゴザと、毛布代わりの布切れと、ハシシ喫煙道具一式を持って出かけるのだった。 夕暮れ時に、パーティーがあるという場所に向けて歩いていくと、薄暗がりの中で、遠くのほうからサックスや横笛の音色が聞こえ、だんだん近づいてくるのがわかるのだった。 ある晩のパーティーでは、小さな漁港を見下ろす小高い丘の上に、数百人とも思えるヒッピーたちが集まっていた。 中央にドデかいスピーカーが置かれ、大麻でラリッた頭で音楽にしびれて踊りまくっている。 異様にセクシーな踊りをしているペアの横を、ただひたすら走り回っている男がいたり、地べたに跪いて果てしなく笑い転げている者もいる。 全くおかしな光景だ。 焚き火の白い煙と、ハシシの青い煙が、星の降るような夜空に吸い込まれてゆく・・・ 突然、音楽が止まった。 スピーカーが壊れたらしい。 皆はだんだん苛立ってきた。 しばらくすると、どこかで誰かがサックスを吹きはじめた。 すると、そのメロディーにあわせて別なところからギターが鳴りはじめた。 そしてフルートも・・・ たちまち歓声が上がり、再び踊り始めた。明け方まで続くのだった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ある晩のパーティーで、イタリア人が手作りのケーキを私に勧めるので食べてみた。 ちょっと苦かった。 「これは何だ?」 「イッツ、ハシシ・ケイク!」 と言って、彼はケラケラ笑っていた。 その後、そのイタリア人は 「LSDを持っているが買わないか?」という。 LSD・・・かのビートルズが歌った「Lucy in the Sky with Diamond」 ドラッグ体験から生まれたといわれるこの曲の頭文字がL・S・D 大麻の主成分を人工的に濃縮した強烈なドラッグだ。 私はいたずらに変なものに手を出す馬鹿な人間ではないが、60年代の世界の若者文化を代表するビートルズや、彼らがはまり込んだ東洋(インド)への旅やドラッグ体験というものに憧れを抱いていた。 おおげさに言えば、世界の潮流と思われるものに自分をはめ込んでみたかった。 「いくらだい?」 「いろいろな銘柄があるぜ。『ピラミッド』は40ドル、『ブルードラゴン』が30ドル、『オレンジサンシャシン』が30ドルだ・・・」 「よし。買った! ブルードラゴンをくれ」 その名のとおり表面に小さな青い竜が印刷された紙、即ちペーパータイプのLSDだ。 ただ一枚の小さな紙切れである。 後で知ったが、普通はそれを半分に切って飲むのだそうだ。 私はそのことを知らなかったので、一度に全部飲んでしまった!! この直後に起こったこと・・・私は一生それを忘れないだろう。 (続く) |