| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第19話 ヒマラヤの旅 (2) 山麓の村々を雄大なヒマラヤを見ながら歩く「ヒマラヤトレッキング」は、案内人であるシェルパを雇っていくのかと思えば、実際はそうでもない。 高い山や峠を越える難しいルートならともかく、ランタン谷を歩くトレッカーはほとんどがシェルパを雇わず、自分たちだけで歩いていた。 当然、私もたった一人。 歩き始めてから3日目、落石の怖い崖沿いの道を越えたところのシャブルという集落に近づいた頃、空が曇ってきた。 チベッタン・ヤク・ホテルという看板のある家に入りチャイを飲んでいたら雨が降ってきた。 もう午後2時だし、今日はここで泊まるか・・・ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 看板は「Hotel」だが、石積みを土で固めた壁と、屋根は板張りの山小屋だ。 客室などない。大きな一間だけ。 この家には10歳くらいの小僧がいて、雨が降ってきたと思ったら、屋根に登って雨漏りがしないように屋根の板をあちこちずらしていた。 彼は川沿いのシャブルベンシという比較的大きな町の学校に通っているそうだ。 「どうして今日は学校に行かないんだい?」 私が聞く。 「今日は雨だからホリデーだ!」 雨なんか今降ってきたばかりで、朝からほとんど降っていないのに・・・ 「明日は?」と聞いたら、「明日もホリデーだ。」ときた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 夜、この小僧は私の隣にへばりついていてなかなか離れない。 私は小僧に日本語を教えたり、日本のことをいろいろ話して聞かせた。 そうすると今度は彼の幼い兄弟たちまでが私の周りに集まってきた。 私はうかつにも、 「日本に行けばたくさんお金を稼げるよ。工事現場で働けば、一日に400ルピーも稼げるんだ。」 ・・・という話をしてしまった。 しまった! 余計なことを言ってしまったかな? この宿に一泊する料金が2ルピーの国だ。 二桁違いの話を小さな子供にしてしまった。 案の定、彼は「日本に行きたい」としきりに言いだした。 「日本に行くには飛行機に乗らなければ行けない。飛行機代は8,000ルピー必要だ。」 これを聞いて、彼はとてもがっかりしていた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 翌朝、いさんでシャブルを出てランタンに向ったが、手前の沢を渡る道を間違えて、とんでもないところへ降りていった。 谷の底まで降りたが、藪しかないので間違いに気づいて再び上に戻り、段々畑をひたすら登って、別の方向に道があったので降りて行ったところ、その先はたくさんの小道に分かれており、そのどれもが途中でわからなくなっている。 暑かった。今日はこれだけで2時間半も費やしている。 腹立たしくなったので、頭を冷やすことにした。シャブルに戻ってもう一日泊まろう。 今朝、例の小僧はシャブルベンシの学校に行ったはずだったが、例のHotelに着いたら彼はもう帰ってきていた。 シャブルベンシの学校まで往復するだけでも随分と時間がかかるはずだが、あまりにも早いではないか。 よほど歩くのが速いのか? いやいや、いくら速くてもこんな時間で往復は無理だ。 それとも学校の授業が短いのか? 小僧に聞くと「学校に行ってきた」という。 まさか! 多分さぼってきたのだろう・・・ 「アルプスの少女ハイジ」のヒマラヤ版ペーターといったところか? 勉強嫌いそうなところがそっくりだ。 働き者の可愛い子供だった。 (続く) |