| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第25話 酷暑 1980年4月下旬、インド・・・ 雨期を目前にしたこの時期のインドは、1年中で最も暑い「酷暑期」だ。 ものすごく暑い!! デリーまで行く列車のチケットを取るために駅で並んで待っている間、暑さで具合が悪くなり、倒れそうになった・・・ さて、まずは列車に乗ってデリーまで行くのだ。 普段ならそれなりに快適な旅なのに、酷暑期の列車は地獄の釜の中だ。 とにかく暑くて暑くて、40度は軽く越えていると思われた(>_<) 列車の中には、当然、エアコンはない。 天井に吊るされた扇風機の風がたまにそよぐだけ。 窓を開けていると時々熱風が入り込んでくるので、窓も閉めている(-_-;) ・・・地獄の熱さだ。 この状態で、パトナからデリーまで、所要時間24時間! 駅に着くと、停車時間中に人々は水筒や壺を持ってホームにある水道に押しかけ、喧嘩のようになりながら水を奪い合う。 私もその中に入って、本能のおもむくままに押し合いながら水を奪い合うのだった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 列車には、はじめ私の予約ナンバーの席に別のインド人が座り込んでいて、私が何を言ってもガンとしてどけないので腹をたてていた。 車掌を捕まえて「なんとかしてくれ」と言ったら、 「彼は3時間後の駅で降りるから・・」となだめられただけでお終いだ。 インドによくある「ダブルブッキング」、つまり重複予約だった。 結局、苦労して並んで指定席を取ったはずなのに、3時間も立ちんぼかよ(怒) 私の隣の席は、パトナ駅でいっしょにチケットを取ってあげたドイツ人。 彼はよく喋る。一人で喋って喜んでいる。 ええい。暑いのにうっとしい! お前はしゃべり過ぎなんだよ〜(怒、怒) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 デリーに着き、冷たいジュースを飲みまくった。 甘〜い、さとうきびジュース。 冷たくておいしい「ラッシー」 ビリッと辛くてうまい「野菜ジュース」 ・・・ジュースを飲みすぎて、腹の調子が悪い(-_-;) 夜は暑さで眠れず、夜中に2・3回起きて水シャワーを浴びる。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 翌日、パキスタン国境の町アムリッツァーまでのチケットを買うため、まず予約のためにバローダハウスというところに行く。 Tourist Guide Office内は冷房が効いていてオアシスだ。 列車のチケット予約を待つ旅行者たちがたくさん待っているのに、かんじんのOffice職員が一人もそこにいないではないか! こんなことってあるのかしら?(怒) かなりの時間待っていたら職員が戻ってきて仕事を始めた。 やっともらったペーパーを持って、言われたとおりオールドデリー駅に行き、コンダクターらしき人に渡したら、自身たっぷりな顔をして逆さに読んでいたり、 あげくは隣のおばさんにそのペーパーを渡して見せたり・・わけがわからん。(怒、怒) 日本に出す手紙に貼る切手を買うために、オートリキシャでPost Officeに行った。 そこにはちゃんと「Post Office」と書かれてあるのに、 「ここでは切手は売っていない。GPOに行け。」 と言われ、 そのとおりGPOに行ってみたら切手など売っていなかった。(怒、怒、怒) 仕方ない。通行人に切手の売り場を尋ねるか・・・ 通行人A 「○△○△・・・」 通行人B 「▲○▲○・・・」 通行人C 「□●□●・・・」 くそー! 皆、自信ありげに言うが、言っていることが皆違うではないか!! (怒、怒、怒、怒) 猛暑の中で怒りはヒートアップするばかりだ・・・ =================================== インドでは、多くの人が「何か売るものはないか?」と尋ねてくる。 例えば、この夜デリーの安ホテルで会ったインド人の青年との「取引」はこんな具合・・・ 同じホテルに泊まってる背の高いインド人がチロムを持って私の部屋に遊びにきた。 ガンジャの話をしばらくした後、例によって、 「何か日本のもので売るものはないか?」 「ああ、インド入国当時はたくさん持っていたよ。腕時計、電卓、カメラ。ボールペンやライター・・・でも今は、全部売り切れだ。」 「でも何か残っているだろう。」 「カラーフイルムならある。」 (カトマンズの免税店で買ったサクラカラーフィルム10パックを出しながら) 「でもこれは、自分が写真を撮るために必要だ。どうしてもと言うなら270ルピーなら売ってもよい。」 「270は高い。現金200ルピーでどうだ? そのかわり、明日の夜、(高級ホテルの)アショカホテルでディナーを奢ってやろう。」 (・・・食べ物を奢るだと? Kさんはインド人に阿片を盛られてひどい目にあったっけな・・・ この男は信用できないから止めておこう。) 「ダメだ。現金で270ルピーだ。」 「そうか。では200ルピーと、Girlを買うのを奢ってやろう。」 「ダメだダメだ!」 「OK、270で手を打とう。明日の朝、銀行へ行ってから金を持ってくる。」 そう言うと彼は、フィルムを持って部屋を出て行こうとした。 「No! 明日の朝、金と同時に交換だ。フィルムを返せ。」 彼は気がついたという風な様子で 「Sorry・・・」 「今度は俺の部屋に来ないか。もう一服一緒にガンジャをやろう・・・」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 彼の部屋にて、しばらく雑談後・・・ 彼はバッグから怪しげな錠剤を取り出し、 「これはマドラックスといって、LSDの2倍の強さがあるインド製ドラッグだ。 これはインドでは10個入り1200ルピーだが、アムステルダムではたった1個で200ドル、ロンドン、パリ、フランクフルトでは130ドルで売れる。 これを2個君にあげるからあのフィルムと交換しよう。 俺はシンガポールやヨーロッパを行ったりきたりしているから事情をよく知っているんだ。間違いない! 大丈夫だ。俺を信用しろよ。」 私は頭がだんだんボケてきて一瞬その気になりかけたが、やがて冷静になった。話が怪しすぎる! 「私はマドラックスなんて薬は知らないし、ヨーロッパまでの道中の国境もしくは国内のチェックで、ドラッグを所持していることを発覚したら大変だ。 だからダメだ。フィルムは売らない! じゃあな。おやすみ・・・」 私が部屋を出ようとすると、彼はあわててまた忙しく説明し始めた。 「本当なんだ。俺を信じろよ。これは高く売れるんだ・・・」 私の背中でわめいているが、無視して寝ることにした。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 結局この「取引」は成立せず、フィルムは売れなかった。 とにかくこういうインド人たちと頻繁に出くわす。 疑ってかかれば皆怪しいし、本当だと思えばそうとも思える。 それにしても、いい加減で滅茶苦茶で訳の分からない国だ、インドは。 でも面白い。なぜかとても面白い・・・ 昼間は怒っていることが多くとも、後から思い起こせば滑稽でユーモラスにさえ思えるのだった。 (続く) |