| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第37話 イスタンブール到着 奇岩が連なる不思議な光景で有名なカッパドキア・・・・ここは観光地だ。 私は例によってユルギップの町を好き勝手にぶらぶら歩いていたが、途中からある男が私にまとわりつきだした。 こちらが何も頼みもしないのに勝手に町のことを説明しはじめる。 「私はこの町のガイドなんだ。ガイドなしでは町を歩いても何もわからないよ。私を雇ってくれれば半日案内してあげよう。」 なんだ、そういうことか・・・ 「ノーサンキュー!」 でもこの男は、私が断ってもおかまいなしだ。勝手に説明を続けている。 「うるさい、あっち行け!」とも言いかねて、しばらく彼とともに歩いていた。 彼の話す英語はスピードもゆっくりで、簡単な単語が多くて分かりやすく、英語の下手な私にとっては有難かった。 確かに彼の言うとおり、何もわからずにただ町をぶらぶら歩いていたって、この町の歴史のことや、どうして巨大な地下都市ができたのだとか、そういうことは分からないままになってしまうだろう・・・ それに・・・、相手が勝手に話しているだけと言えばそれまでだけど、今までさんざんタダで説明を聞いていたため、自分にも少し負い目を感じてきた。 (この辺が彼らの商売上手なところか・・・) 「いいよ、分かったよ。ガイドとして雇うよ。」 ガイド料が安かったこともあり、はじめて観光ガイドなるものを雇うことになった。 貧乏旅行者としては破格の出来事だ(^^ゞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 キリスト教徒たちが迫害をのがれて造ったという深い深い地下都市や、奇岩の上の展望台などを見物。 それなりに面白いし、彼といっしょに歩くのはいいんだけど、どうも彼の立つ位置が私に非常に近いのが気になる。 普通、他人どおしがある目的のために一緒に行動するとすれば、1メートルくらいはお互いの距離をおくのが一般的ではないのか? それなのにこの男は、極めて接近している。私との距離は50センチ以内だ。 「そんなに近づかなくともいいよ!」という態度をとるために、彼が近づくたびに逃げるような仕草をする私であった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 移動にはロバ車を使う。いわゆる「馬車」のようなものだが、先頭にいるのは馬ではなくてロバだ。 彼と私は並んでロバ車の座席に座っている。例によって二人の距離は極めて近い。 彼は私に体を密着させてくる・・・ もしかしてこいつもホモなんじゃないか? そう思ったときは遅かったか! 彼は陽気に世間話をしながら、いつの間にか私の股間に手をのばしていたのだ。 うわっ!! 思わず彼の手をはねのけ、彼を睨みつけた。でもこの男は悪びれる様子はない。 「まあ、いいじゃないか・・・」 そう言っているような顔つきだ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 私は言った。 「俺はおまえが嫌いだ。」 こういうときには何といえばいいのか分からない。 とりあえず、あんたは嫌いだ! という意思表示をしておこう。 あんたと仲良くする気はないよ!! ロバ車を降りたとき、私はこの「ガイド」を解任した。 「俺はここで観光を切り上げるぜ。ガイド料はきちんと払う。じゃあな。バイバイ」 ふーっ! またしてもホモか・・・ カッパドキアは観光としては面白かったけど、このホモガイドの印象の方が強烈に想い出として残ってしまった・・・(-_-;) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 またしてもバスに乗り、イスタンブールへ向かう。 正確な日付けは忘れたが、1980年5月下旬、アジアとヨーロッパを隔てるボスポラス海峡にかかる大きな橋を渡った。 ついにアジアの西の果て、ヨーロッパの入り口、イスタンブールに到着。 街並みの印象はもう完全にヨーロッパだ。 トルコ東部やカッパドキア地方のような「アジア臭さ」はもうなくなった。 クルマがラッシュをつくり、港には大型船が停泊している。 大勢の人々が行きかう大都市だ。 何よりも嬉しいのは海があること! 海沿いの町で育った私は、やはり海を見るとなんとなく懐かしいような気分になる。 これまでアジア内陸部を長いこと移動してきたため、海はとても新鮮に感じられた。 ガラタ橋の下にある揚げ物屋では、海峡で取れた魚のアツアツのフライをパンに挟んで食べる。とてもうまい! 滅茶苦茶うまい! 事前に旅行者仲間の情報交換で知っていたツーリストバンガローという安宿に泊まる。ドミトリー(相部屋)だがこざっぱりとした清潔感ある宿だ。 有名なスルタン・アーメットモスク(別名ブルーモスク)のすぐ傍にある。 ブルーモスクは夜になるとライトアップして、幻想的な美しさを醸し出していた。 ヨーロッパ(の端っこ)に着いた。大都市に着いた。安宿に落ち着いた・・・ 安心した私は、ここイスタンブールに3週間も滞在していた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 しかしながら気になるのが、警官の多さ。 警官? あるいは軍か? ストリートに沿って、およそ50m間隔に警官(あるいは軍?)が立っている。 トルコでは入国したときから軍と警察があちこちにたくさんいることが気になっていたが、トルコ一の大都市イスタンブールの街中のメインストリートにまで、こんなにたくさんいるとは思わなかった。 なにか異様な雰囲気がする。 このとき私は知らなかった。 この時期トルコでは反政府ゲリラの活動が活発化して、政府が警戒を強化していたという情勢を・・・ 「イランが危なそうだ」という思い込みから、イランを出国したことにより安全地帯に入ったような気分になっていた。 当然、私が泊まった宿のすぐ近くに実は反政府ゲリラのアジトがあるということなどこのときは知る由もなかった。 (続く) |