| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第39話 銃撃事件 イスタンブールで私と、偶然再会した友達のT君が泊まっていた安宿は、ブルーモスクにほど近いツーリストバンガローだった。 この宿から石畳の坂道を下ったところに、我々がよく行くレストランがあった。安くておいしいのである。 ある日、街で出会った日本人のMさんと会話していて、「どこかにいいレストランを知りませんか?」ということになり、我々がよく行くあの店を紹介してあげた。 そしてそれから数日後の夜、我々の宿にあのMさんがやってきた。 「すみません。これから私を一緒に泊めて下さい。」 「えっ、どうして? 今までのホテルは出てきたんですか?」 Mさんは何か切羽詰っているような真剣な表情だ。心なしか顔面も蒼白に見える。 「どうしたんですか・・・」 Mさんが語った話は、以下のような驚くべき内容だった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 その日の昼、Mさんは我々から教えられたレストランに行こうと、例の石畳の坂道をゆっくりと歩いていた。 と、突然、近くで数発の銃声が聞こえた! 何事か? と思う間もなく、彼は、左足の付け根付近に激痛を感じて動けなくなり、その場にうずくまった。 しばらくしてトルコの警察と思われる数人の人たちが現れ、彼を抱きかかえる。 Mさんは救急車で病院に運ばれ、すぐに治療を受けた。 左足付け根付近に銃弾がささっていたのだ (@_@) 銃弾は直接当たったものではなく、おそらく一旦地面に当たって跳ね返った流れ弾だろうという。 足を貫通するほどの威力はなく、肉の中でとどまっているものを手術で抜き取った。 幸い当たった場所が急所ではなく、命に別状はないし怪我も比較的軽く済んだ。 とにかく良かった。死ななかった。 だがしかし、・・・いったい何だ? どういうことだ? 警察の話によると、あの界隈には反政府ゲリラが潜んでいたという。 Mさんが銃声を聞いたその瞬間には、まさにゲリラ側と警察(トルコ軍?)との間で銃撃戦が行なわれていた。 たまたま付近を歩いていたMさんは、運悪く巻き添えを食ったのだ。 そもそも最近トルコではあちこちで反政府ゲリラの活動が活発化しており、警察と軍は警戒を強めていたのだ。おまえはそれを知らなかったのか?・・・ ・・てなことをMさんは警察から言われてしまった。 そして治療が終わると、怪我が大したことなくなんとか歩けることから、Mさんはホテルまで送り届けられたのだという。 「もう怖くて、一人でホテルにいるのは嫌だ。悪いけど一緒に居させてくれ!」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この話を聞いて私と友達のT君は非常に驚き、 「取り合えず良かったですねぇー、命に別状なくて・・・」 とは言ったものの、Mさんは自分達が教えた道を歩いていて弾に当たったのだ。 なんとなくこちらにも責任ありそうな感じがして嫌ーな気分。 それにしても反政府ゲリラの活動が活発化しているなんて知らなかったぞ。 街には50mおきくらいに軍が立っているのを見て、「物々しいな・・何だろう?」と 思っていたのが、やっと理由が理解できた。 我々はなんて無知で無防備だったんだろう。 下手をすれば弾に当たったのはMさんではなく、普段いつも通っている我々のほうではなかったのか? 運が悪ければ命を落としていたかも・・・ もちろん、我々はMさんを匿うようにして一緒の部屋に泊まったのだった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 そしてその日の深夜2時過ぎ、パン、パーン! という乾いた音で目が覚めた。 これは銃声だ! 窓の外から聞こえる。近い! しばらく間をおいて再びパン、パーン! 「おいおい、あれは銃声じゃないのか・・・」 「またゲリラと戦っているのかな?」 「もうあの店には行けないな。」 「あの店どころか外を歩くのもヤバイんじゃないか。」 「明日、イスタンブールを出るか・・・」 危険だと思っていたイランを抜け、トルコに入って安心していたところが、実はこっちの方が危険だった。 ただ私が知らなかっただけで・・・ 我々はゲリラのアジトの近所に知らずに3週間も滞在していたイスタンブールを離れ、ギリシャに向かうことにした。 (続く) |