| 南西アジア旅行記 管理人の、7ヶ月間のアジア一人旅 おもしろエピソード |
■ 第40話 旅の終わり ギリシャでは船に乗り、エーゲ海のミコノス島に行ってみた。 よくカレンダーなどに出てくる、あの青い海と白い家並みで有名な島だ。 島に着いたら、乗船客は皆泊まる宿が決まっているのか、すたすたとどこかへ消えて行く。 私とT君は、泊まる宿を探してあちこちあたってみたが、観光シーズンなのかどこも満室だ。 眩い白い街並みの中を半日探した挙句、やっと一軒の宿に部屋を見つけた。 この島にはパラダイスビーチという浜があり海水浴客で賑わっていたが、その浜の奥には「スーパーパラダイスビーチ」というヌーディストビーチがあるそうだ。 我々は水着を持っていない。パラダイスビーチはダメだ。 じゃあ「スーパーパラダイスビーチ」か? ヌーディストビーチで西洋人と張りあっても負けそうだなあ・・・・ 結局どちらのビーチにも行かず、誰もいない、海水浴場ではないただの岩の海岸で素っ裸で泳いだりして遊んでいた。 さすがエーゲ海。どこまでも青い海! なぜか海の匂いまで日本の故郷の海とは違う。 「海」臭くない。野暮ったくない。油っぽくもない。 エーゲ海だと海まで洗練されているのか? 気のせいか・・・ もう所持金も残り少ないので節約しなければならない。 自炊するため市場でサンマを買い込み、部屋の外で登山用コンロで焼いていたところ、煙がもうもうと出たためか宿の親爺がすっ飛んできて、 「ρζθψΔβΓσ!!!」 何事か大声で怒鳴られた。 翌朝、逃げるように島から退散。こういう洒落たリゾートは居心地が悪い。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 アテネの安宿には日本人旅行者の集団が長期滞在していた。 彼らは各地で毎日のようにあるお祭りに出かけては針金細工をつくって売り、それで生計を立てて暮らしているのだ。 日本でも街角で外国人がアクセサリーを売っていたりするが、アレと同じだ。 針金細工は少し練習すればできるようになるという。元締めがいて、材料を支給してもらえるが、売上の一部を上納する。 こういう生活をしていれば何年でも海外に滞在していられる。小銭が溜まったら物価の安い国々を外遊し、また戻ってきては稼ぐという暮らし・・・ そういう暮らしもいいなあ・・・ チラとその気になった。彼らの仲間になることは簡単だったし、その気になれば自分もいつまでも海外に滞在できるし、いろんなところを見て歩ける。 以前から、物価の高いヨーロッパやアメリカでバイトしてお金を溜め、アジアやアフリカなど物価の安い国々を旅して回れたらいいなあと考えていた。 お金を海外で現地調達しながら世界中を旅するなんて、カッコイイじゃないかと。 しかし私はもう「旅の終わり」を感じていた。 アジアを抜けヨーロッパに来たら、街の様子も風俗も人々のモノの考え方も日本と大差なく感じられ、つまらなくなっていた。 針金細工の人たちを見ていても、そういう生活をして長期間海内に滞在して何の意味があるのかと思うようになっていた。 パキスタンのクエッタで会った、「人生について」オランダ人と激論していたパキスタン人の言葉を思い出した。 「あんたは故郷のために何かをするべきだ」・・・ 「そろそろ日本に帰るか・・・」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 アテネは格安航空券が買えるということで旅行者の間では有名だった。 この街のサニークルズというチケット屋で、一番安い航空券を扱っているというので、ネパールまでの航空券をここに注文した。 ところが、約束の日を過ぎても、いつまで待ってもなかなかチケットが手に入らない。 私だけでなく何人かの旅行者も、同じよう予定の日になってもチケットがもらえずに苛立っていた。 ついにある日、サニークルズの店の前に何人かの日本人が抗議に行った。 店の前に座り込みである。 私も後から座り込みに参加しに行った。 アテネの街中にあるサニークルズは妊娠中の女性が切り盛りしていた。彼女は大きなおなかで、連日の仕事多忙で疲れ切っている様子だ。 座り込み集団は口々に言い放つ。「早くチケットよこせ。約束が違うぞ!」 「いつまで待てばいいんだ。この前に聞いた日にちはとうに過ぎたぞ!」 だんだんエスカレートしてきて、店の前は騒然としてくる。 身重の彼女はついにブチ切れて、我々に向かって言い放った。 「あなたがたはそうやって外国に旅行できるが、私たちは一生働いても飛行機に乗ることさえ出来ないんだ!!」 「それは関係ないだろう!」 「約束守れ!」 ますます騒然としてきた店・・・ 確かに彼女の言っていることは客には関係ない。我々も格安航空券が手に入るというからホテル代を払って待っているんだ。 彼女はプロらしくないことを言っている。 でも私は騒ぐ気になれなかった。それどころか彼女に同情してしまった。 確かに、一生働いてもほかの国を見ることなどできない人はたくさんいる。 どんな貧乏旅行でもいいから、自由に外国を歩き回れるというのはなんて幸せなんだろう・・・このとき本当にそう思ったのだった。 (続く) |